FinTechとは金融(Finance)と技術(Technology)を合わせた造語の通り、金融の世界にIT技術を利用したサービス展開です。
ITを利用した送金や資金管理、投資など様々なものがありますが、会計の世界ではとりわけIT企業が金融の分野でサービス展開をしている点で注目されています。
例えば、これまでは会計ソフトに手動で仕訳を入力していた作業を銀行口座の取引明細やカード明細などの金融データを利用して自動的に仕訳を生成して入力してくれるといったものがあります。
このように自動で入力作業が行われるために経理担当者の事務負担を軽減することができます。
一方、自動処理された物のチェックなどが必要になってきます。
特に、設定の段階で誤りがあると、そのチェックや訂正が大変になってしまいますね。
(将来的には設定の段階での誤りは、設定を訂正すると自動処理された分も遡及して訂正される・・・といった機能がついたりするかもしれませんね。会計の世界では遡及訂正できるということ自体が問題視されることもありますが。)
会計には『制度会計』と『管理会計』というものがあります。
制度会計とは、税法や会社法などの法令等に定められている決まりに従って処理される会計で、『税額の計算を行うための税務会計』や『外部の利害関係者に対する会計情報の提供を目的とする財務会計』などがあります。
経理の業務効率UPを目的として仕訳の自動計上などで注目されているクラウド会計は主にこの税務会計や財務会計を行うために使われます。
そのため、税額計算や情報開示といった目的にあった適切な設定を行う事が必要です。
正しい仕訳が自動計上されるようになれば、人が行う作業を最小限に抑えることで人為的なミスは減少し作業効率が増します。
一方、管理会計とは法令等によるルールにとらわれずに、各企業の実態や経営者の欲している情報を数値に反映させることが出来る会計です。
管理会計は経営者が意思決定をするために活用される会計であり、『制度会計』が『過去を知るための会計』であるのに対し『管理会計』は『未来を知るための会計』といえます。
会社がある程度の規模になってくると、経営者には迅速な経営判断を求められるようになります。
その際に必要になってくるのは意思決定に必要な数字が表れ、会社の正しい業績を示してくれる会計帳簿になります。
そのような会計帳簿の作成には、税理士による毎月の巡回監査において経営者の意思を管理会計に対応した会計システムに落とし込む事が必要になります。
作業効率がアップすることで、例えば経営者自身が経理を行う必要があるような規模の小さな会社では本業に充てる時間が増え、経理担当者が居る会社であれば月次の経理業務が素早く完了することで経営者がこれまでよりも早く会社の業績確認ができるようになります。
また、税理士などの専門家を迎えて経営に関する相談をするタイミングが早くなる、記帳代行業務に充ててもらっていた時間が短縮される事でより深い経営相談が可能になるといった利点があります。